アビシニアンは、その名前の由来や起源に謎が多く、猫種の歴史のなかでもとりわけ興味深いとされています。現在もっとも有力な説から、近年のDNA研究による新たな知見まで、アビシニアンが現在の姿になるまでの歩みを解説します。
アビシニアンの起源と名前の由来
「アビシニアン」という名前は、現在のエチオピアにあたる地域の旧称「アビシニア」に由来しています。品種の起源として長らく信じられてきた説は、1868年のイギリス軍によるエチオピア遠征にさかのぼります。遠征から帰国したイギリス軍将校がアビシニアの猫をイギリスへ連れ帰り、それが品種の祖先になったというものです。
ただし、この説には確実な記録が乏しく、近年のDNA解析研究では異なる可能性が示されています。遺伝的なルーツとして有力視されているのは、インド洋沿岸のインドや東南アジア地域です。イギリス統治下のインドや東南アジアと往来する船が寄港した港町でこうした猫が持ち込まれたとする説もあり、名前とは異なる起源を持つ可能性が研究者の間で議論されています。
起源に諸説があるなかでも、独特のティッキング(一本の毛に複数の色が入るパターン)を持つ野生的な被毛は、アビシニアンが古くから自然界に存在していた猫の流れを汲んでいることを示唆しています。
品種として確立されるまでの歴史
アビシニアンが品種として記録に登場するのは、19世紀後半のイギリスです。1871年に開催されたロンドンのキャット・ショーにアビシニアンに近い猫が出展されたという記録があり、これが品種として世に知られる最初期の記録とされています。その後イギリスの繁殖家たちの手によって繁殖・改良が進み、1900年代初頭には品種として正式に登録されました。
アメリカへの輸出が盛んになったのは1900年代に入ってからで、とくに1930年代以降にアメリカのブリーダーが繁殖に力を入れ始めました。第二次世界大戦中はヨーロッパでの繁殖数が激減しましたが、アメリカに渡ったアビシニアンがその血統を守り、戦後の復興に貢献したとされています。
現在ではCFA(キャット・ファンシアーズ・アソシエーション)、TICA(インターナショナル・キャット・アソシエーション)、FIFe(国際猫連盟)をはじめとする主要な登録団体のすべてで公認されており、世界的に人気の高い品種として確立されています。
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