猫の心不全は、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなった状態です。猫では肥大型心筋症(HCM)が最も多い原因で、メインクーン・ラグドール・スコティッシュフォールドなど特定の猫種に遺伝的リスクがあります。初期は無症状のことが多く、急に「口を開けて息をしている」「ぐったりしている」という形で飼い主が気づくケースが少なくありません。定期的な心臓検診と早期治療が予後を大きく左右します。
目次
猫の心不全とは?
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身の臓器・組織に必要な血液量を供給できなくなった状態です。心不全には大きく以下の2種類があります。
- 左心不全:左心室の機能低下により肺に血液が逆流・うっ滞し、胸水や肺水腫(肺に水が溜まる状態)を起こす。猫で最も多いタイプ
- 右心不全:右心室の機能低下で体循環が滞り、腹水・胸水・浮腫が生じる
主な原因(心臓病の種類)
肥大型心筋症(HCM)
猫の心臓病の中で最も多く、心筋(心臓の筋肉)が肥厚して心臓内腔が狭くなる疾患です。遺伝的要因が大きく、メインクーン・ラグドール・スコティッシュフォールド・ブリティッシュショートヘアなどの猫種でリスクが高いとされています。
その他の心臓病
- 拡張型心筋症(DCM):タウリン欠乏が原因の一つ。現在のキャットフードはタウリン強化されているため減少傾向
- 先天性心疾患:心室中隔欠損・大動脈狭窄など
- 甲状腺機能亢進症による二次性心疾患:高齢猫に多い
主な症状
初期(無症状〜軽症)
- 聴診で心雑音が聞こえる(定期検診で発見されることが多い)
- 活動量がわずかに低下する
- 運動を嫌がるようになる
中期〜重症(うっ血性心不全)
- 呼吸困難:口を開けて息をする・腹式呼吸になる・伏せたまま動かない
- 安静時の呼吸数増加:1分間30〜40回以上の呼吸
- 元気消失・食欲不振
- 体重減少
- 後肢の麻痺・冷感(大動脈血栓塞栓症):血栓が後肢の動脈を詰まらせる緊急状態
緊急受診が必要なサイン
- 口を開けて苦しそうに呼吸している
- 突然後ろ足が動かなくなった・足が冷たい(大動脈血栓塞栓症:緊急)
- 舌・歯茎が青紫色・白っぽい(チアノーゼ)
- ぐったりして起き上がれない
診断方法
聴診
心雑音・不整脈の有無を確認します。ただしHCMは心雑音がない場合もあります。
心臓エコー(超音波検査)
心臓の形態・心筋の厚さ・心臓内腔の大きさ・ポンプ機能をリアルタイムで確認できる最も重要な検査です。HCMの確定診断にも使用されます。
胸部X線・心電図・血液検査
肺水腫・胸水の確認(X線)、不整脈の評価(心電図)、腎機能・甲状腺機能の評価(血液検査)を行います。バイオマーカー(NT-proBNP)は心臓病のスクリーニングに有用です。
治療方法
利尿薬(フロセミドなど)
肺水腫・胸水に対して尿として余分な水分を排出させます。うっ血性心不全の急性期では静脈注射で使用し、維持期は経口薬で継続します。
ACE阻害薬・ARB
心臓の負荷を軽減する薬です。心不全の進行を遅らせる効果があります。
抗血栓薬(クロピドグレルなど)
血栓形成のリスクが高い猫(左心房拡大など)に使用し、大動脈血栓塞栓症を予防します。
アテノロール・ジゴキシン(不整脈への対処)
重大な不整脈(心房細動など)がある場合に使用します。
治療費の目安
- 心臓エコー検査:10,000〜25,000円程度
- 急性期入院・処置:50,000〜150,000円程度
- 維持期薬代(月):5,000〜20,000円程度
- 定期エコー(3〜6ヶ月ごと):10,000〜25,000円程度
自宅でのケアと管理
- 安静時呼吸数を毎日測定する:寝ているときの1分間の呼吸数を記録する。30回/分以上が続く場合は受診
- 薬を毎日決まった時間に与える:利尿薬・心臓薬は継続が重要。勝手にやめない
- 塩分を控えた食事:心臓病用の療法食が推奨されることがある
- ストレスを避ける:興奮・強いストレスは心臓に負担をかける
- 定期受診を継続する:3〜6ヶ月ごとのエコー検査で病態をモニタリングする
リスクの高い猫種
以下の猫種はHCMの遺伝的リスクが高いため、年1〜2回の心臓エコー検診をおすすめします。
- メインクーン
- ラグドール
- スコティッシュフォールド・スコティッシュストレート
- ブリティッシュショートヘア
- ノルウェージャンフォレストキャット
- スフィンクス
よくある質問
Q. 心不全と診断されたらどれくらい生きられる?
A. 個体差が大きく一概には言えませんが、適切な薬物管理で1〜3年以上生活の質を維持できるケースもあります。早期発見・早期治療が予後を大きく改善します。
Q. 心雑音があると言われたが、すぐに治療が必要?
A. 心雑音があっても心臓の構造に異常がなければ経過観察となることがあります。心臓エコーで詳しく調べ、HCMの程度によって治療開始のタイミングを判断します。「心雑音がある=すぐに治療」ではありませんが、放置せず定期的にフォローすることが重要です。
まとめ
猫の心不全は初期に無症状なことが多く、呼吸困難で初めて発覚するケースが少なくありません。リスクの高い猫種は年1〜2回の心臓エコー検診を受け、早期発見につなげることが大切です。口を開けた呼吸・後肢の突然の麻痺が見られたら緊急受診してください。適切な薬物療法で病気の進行を遅らせ、快適な生活を長く維持することが治療の目標です。
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