猫の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)は、甲状腺ホルモンの分泌が不足することで代謝が低下する疾患です。猫では甲状腺機能亢進症(ホルモン過剰)と比べてはるかにまれですが、甲状腺機能亢進症の治療後の合併症として発症するケースや、先天性に甲状腺が機能しない子猫に見られることがあります。症状が緩やかに進行するため気づきにくく、「なんとなく元気がない」「太ってきた」という変化から発見されることが多い疾患です。

甲状腺機能低下症とは?

甲状腺は喉の近くに位置し、代謝・体温調節・心臓機能・消化などを制御するホルモン(T3・T4)を分泌する臓器です。このホルモンが不足すると全身の代謝が低下し、体のあらゆる機能がゆっくりとなります。

猫の甲状腺機能低下症は以下の3つに分類されます。

  • 医原性(いげんせい):甲状腺機能亢進症の治療(放射性ヨード療法・外科切除・抗甲状腺薬)の結果として甲状腺ホルモンが過剰に抑制されて起こる。最も多いタイプ
  • 先天性:生まれつき甲状腺が正常に機能しない。成長不全・小人症などを伴う
  • 原発性(自然発症):免疫介在性や腫瘍による甲状腺破壊。猫では極めてまれ

主な症状

甲状腺機能低下症の症状は代謝低下によるものが中心で、緩やかに現れます。

  • 体重増加・肥満:食事量が変わらないのに太る
  • 元気消失・活動量の低下:寝ている時間が増える、遊ばなくなる
  • 体温低下・寒がる:暖かい場所に集まる、震える
  • 皮膚・被毛の変化:毛並みが悪くなる、毛が抜けやすくなる、皮膚が乾燥する
  • 徐脈(心拍数の低下):心臓のポンプ機能が低下する
  • 便秘・消化の低下:腸の動きが遅くなる
  • 筋力低下・歩行の異常:後肢がふらつく(重症例)

先天性の場合は、成長の遅れ・体格が小さい・知的発達の遅れなどが生後早期に現れます。

原因とリスク要因

  • 甲状腺機能亢進症の治療歴:放射性ヨード治療・外科的甲状腺切除・メチマゾール長期投与後に発症することがある
  • ヨード欠乏またはヨード過剰:食事中のヨード量が極端に偏ると甲状腺機能に影響する
  • 先天性要因:甲状腺形成不全・ホルモン合成酵素の欠損など
  • 自己免疫疾患:まれに免疫細胞が甲状腺を攻撃することがある

受診の目安

以下のいずれかが見られる場合は、動物病院を受診してください。

  • 食事量が変わっていないのに体重が増え続けている
  • 甲状腺機能亢進症の治療中・治療後に元気消失や体重増加が起きている
  • 子猫が同腹の兄弟と比べて極端に成長が遅い
  • 被毛が急に悪化した・大量に抜ける
  • 寒がって震えることが増えた

診断方法

甲状腺機能低下症の診断は、以下の検査を組み合わせて行います。

血液検査(甲状腺ホルモン測定)

血中のT4(サイロキシン)濃度を測定します。T4が正常値を下回っている場合に甲状腺機能低下症が疑われます。ただし他の疾患でもT4が低下することがあるため(低T4症候群)、総合的な判断が必要です。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)測定

TSHが高い場合、下垂体が甲状腺を刺激してもホルモンが出ていないことを意味し、甲状腺機能低下症の確定診断に有用です。

その他の検査

血液生化学検査・尿検査・レントゲン・超音波検査などを組み合わせて、他の疾患との鑑別を行います。

治療方法

甲状腺ホルモン補充療法

合成甲状腺ホルモン(レボチロキシン)を経口投与します。多くの場合、生涯にわたる投与が必要です。投与量は血液検査でホルモン値を定期的に確認しながら調整します。

医原性の場合

甲状腺機能亢進症の治療によって起きた医原性の場合は、抗甲状腺薬の減量・中止、または甲状腺ホルモンの補充によって調整します。担当獣医師の指示に従って薬の量を変更してください。

治療費の目安

  • 初診・血液検査(T4・TSH):8,000〜20,000円程度
  • レボチロキシン(月の薬代):3,000〜8,000円程度
  • 定期血液検査(3〜6ヶ月ごと):5,000〜15,000円程度

自宅でのケアと管理

  • 毎日決まった時間に薬を投与する:レボチロキシンは食事と一緒か食後30分以内が吸収しやすい
  • 体重を定期的に記録する:週1回程度の体重測定で治療効果を確認する
  • 適切な食事管理:代謝が落ちているため、カロリー過多にならないよう食事量を調整する
  • 定期的な受診を欠かさない:ホルモン値のモニタリングは投与量の調整に不可欠

予後

医原性(治療後発症)の甲状腺機能低下症は、適切にホルモンを補充することで多くの場合良好な生活の質を維持できます。先天性の場合も早期発見・早期治療で成長をある程度補うことが可能です。治療を継続することで症状は改善し、通常の生活を送れる猫がほとんどです。

よくある質問

Q. 甲状腺機能低下症は完治する?

A. 原因によります。医原性(治療による)の場合は薬の調整で改善することがあります。先天性・原発性の場合は生涯にわたるホルモン補充が必要なケースが多いです。

Q. 甲状腺機能亢進症の治療中だが、低下症になっていないか心配。

A. 定期的な血液検査(T4測定)で確認できます。元気消失・体重増加・寒がるなどの変化が現れたら早めに担当獣医師に相談してください。

まとめ

猫の甲状腺機能低下症は、特に甲状腺機能亢進症の治療後に注意が必要な疾患です。症状は緩やかに現れるため気づきにくいですが、体重増加・元気消失・寒がるなどの変化が続く場合は受診してください。適切なホルモン補充療法で症状をコントロールし、良好な生活の質を維持することが可能です。定期的な血液検査によるモニタリングが治療の鍵です。

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