猫の前庭疾患(ぜんていしっかん)は、平衡感覚を司る前庭系の機能異常によって突然のふらつき・頭の傾き(斜頸)・目の揺れ(眼振)などが現れる疾患です。「急に猫がぐるぐる回っている」「まっすぐ歩けない」と飼い主が驚くケースが多いですが、最も多い「特発性前庭疾患」は数日〜2週間で自然回復することが多く、適切なケアをしながら様子を見ることができます。一方、脳腫瘍・中耳炎など治療が必要な原因の場合は早急な対処が必要です。
目次
前庭疾患とは?
前庭(ぜんてい)とは、内耳に存在する平衡感覚を制御する器官です。前庭・前庭神経・脳幹のいずれかに異常が生じると、体のバランスが急に取れなくなります。
前庭疾患は発生部位によって以下に分類されます。
- 末梢性前庭疾患:内耳・前庭神経の異常。中耳炎・外耳炎・内耳炎・ポリープなどが原因。予後は比較的良好
- 中枢性前庭疾患:脳幹・小脳の異常。脳腫瘍・脳炎・脳梗塞などが原因。症状が重く、予後に注意が必要
- 特発性(原因不明):最も多いタイプ。原因不明で突然発症し、数日〜2週間で自然回復することが多い
主な症状
- 突然のふらつき・転倒:立てない・まっすぐ歩けない状態が突然起きる
- 斜頸(しゃけい):頭が一方向に傾いたままになる(前庭疾患の特徴的な症状)
- 眼振(がんしん):眼球が左右または上下に素早く揺れ続ける
- ぐるぐる旋回する:一定方向にぐるぐると歩き回る
- 嘔吐・食欲不振:平衡感覚の乱れによる乗り物酔いのような状態
- 眼球斜視:眼球が正常な位置からずれる(腹側・背側)
末梢性と中枢性の見分け方
飼い主が完全に判断することは難しいですが、以下のサインは中枢性(脳の異常)を示す可能性があり、より緊急度が高いです。
- 意識が低下している・反応が鈍い
- 前後肢ともに力が入らない・麻痺している
- 眼振が垂直方向(上下に揺れる)
- 症状が数日たっても改善しない・悪化する
- てんかん発作を伴う
受診の目安
前庭疾患の症状が初めて現れた場合は、必ず動物病院を受診してください。特発性か脳疾患かの判断は診察なしにはできません。
- 初めてのふらつき・斜頸・眼振:当日中に受診
- 意識が低下している・痙攣を伴う:今すぐ受診(緊急)
- 48〜72時間たっても症状が改善しない:再受診
- 症状が悪化している:再受診
診断方法
神経学的検査
眼振の方向・斜頸の程度・姿勢反応・歩様などを確認し、末梢性か中枢性かを判別します。
耳の検査
外耳道・鼓膜の状態を確認し、中耳炎・外耳炎・ポリープの有無を調べます。
血液検査・画像検査
感染症・内分泌疾患の除外のために血液検査を行います。中枢性が疑われる場合はMRI検査が必要です。
治療方法
特発性の場合(経過観察)
原因が特発性(原因不明)と判断された場合、特別な治療なく自然回復を待ちます。嘔吐がひどい場合は制吐薬、不安が強い場合は鎮静薬が処方されることがあります。多くは72時間以内に改善が始まり、2週間以内にほぼ回復します。
中耳炎・内耳炎の場合
抗生物質・抗真菌薬・消炎薬などで治療します。ポリープが原因の場合は外科的摘出が必要です。
中枢性の場合
脳腫瘍・脳炎など原因疾患に応じた治療(コルチコステロイド・抗生物質・外科手術・放射線治療など)を行います。
治療費の目安
- 初診・神経学的検査・血液検査:10,000〜25,000円程度
- 制吐薬・鎮静薬(数日分):3,000〜8,000円程度
- 中耳炎の治療(抗生物質など):10,000〜30,000円程度
- MRI検査(中枢性疑い):60,000〜120,000円程度
自宅でのケア(特発性・回復中)
- 安全な低い場所に移動させる:転倒・落下を防ぐため、キャリーや低いケージで安静にさせる
- 食事・水を近くに置く:ふらついて移動が難しいため、すぐ手の届く場所に設置する
- 無理に動かさない:ふらつきがある間は抱っこ・移動を最小限にする
- 嘔吐に注意する:嘔吐物を誤嚥しないよう横向きに寝かせる
- 毎日症状を観察・記録する:改善しているか悪化しているかを記録し、受診時に伝える
よくある質問
Q. 特発性前庭疾患は再発する?
A. 再発することはありますが、多くの猫は数年に一度程度です。再発した場合も多くは自然回復します。ただし毎回必ず受診して中枢性でないことを確認してください。
Q. 斜頸は完全に治る?
A. 特発性の場合、多くは完全に回復しますが、わずかな頭の傾きが残るケースもあります。残ったとしても日常生活に大きな支障が出ることは少ないです。
まとめ
猫の前庭疾患は、突然のふらつき・斜頸・眼振で発症します。最も多い特発性は自然回復が期待できますが、中枢性(脳疾患)との鑑別が必要なため、初発時は必ず受診してください。自宅では安全な環境で安静にさせ、食事・水を近くに置きながら毎日症状の変化を確認しましょう。72時間以上改善がなければ再受診が必要です。
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