猫の振戦(しんせん)は、筋肉が不随意に繰り返し収縮することで生じる「震え」の症状です。恐怖や寒さによる一時的なものから、神経疾患・中毒・低血糖など治療が必要な深刻な状態まで原因は多岐にわたります。「ブルブルと体が震えている」「足が細かく震えてうまく歩けない」などの様子が見られたら、震えの性状と他の症状を確認して受診の判断をしてください。
目次
振戦とは?
振戦とは、神経・筋肉系の異常により筋肉が不随意に規則的に収縮と弛緩を繰り返す症状です。全身に生じる場合と、頭部・四肢など特定の部位に限局する場合があります。てんかん発作と混同されやすいですが、振戦は意識が保たれていることが多い点が異なります。
振戦の種類
- 静止時振戦:安静にしているときに震える。パーキンソン症候群などで見られる
- 企図振戦(きとしんせん):何かをしようとしたとき(食事・歩行)に震えが強くなる。小脳疾患に多い
- 姿勢時振戦:特定の姿勢を保っているときに震える
- 全身性振戦:全身がガクガク震える。中毒・低血糖・重篤な神経疾患で見られる
主な原因
緊急性が高い原因
- 中毒:ピレスロイド系殺虫剤(犬用ノミ取り製品の猫への誤用)・エッセンシャルオイル・農薬・除草剤・有毒植物など。猫は肝臓の解毒能力が低く重篤になりやすい
- 低血糖:インスリン過剰投与・インスリノーマ・食欲不振が続く子猫。震え・ふらつき・意識障害
- 重篤な感染症・敗血症
- 熱中症
神経疾患
- 小脳形成不全(パルボ関連):子猫期のパルボウイルス感染による小脳障害。頭部の振戦・歩行失調が特徴で進行しないことが多い
- 脳腫瘍・脳炎:神経症状の一つとして振戦が現れる
- 脊髄疾患:脊髄の圧迫・障害による四肢の振戦
代謝・内分泌疾患
- 肝性脳症:肝臓の機能低下で毒素が脳に蓄積する
- 腎性脳症:腎不全による脳への影響
- 電解質異常:低カルシウム血症(低カルシウム性テタニー)・低カリウム血症
非緊急の原因
- 恐怖・ストレス・興奮:動物病院・知らない環境・大きな音への反応。他に症状はなく、落ち着くと収まる
- 寒さ:体温維持のための正常な反応
- 老齢性変化:高齢猫での筋力低下・微細な震え
受診の目安
以下の場合はすぐに動物病院を受診してください。
- 突然の激しい全身の震え(緊急)
- 殺虫剤・有毒物質への接触後に震え始めた(緊急)
- 意識が低下している・反応がない(緊急)
- 震えと同時にてんかん発作が起きた(緊急)
- 24時間以上震えが続いている
- 食べられない・水が飲めない状態が続いている
- 震えに加えてふらつき・歩行異常・嘔吐がある
恐怖や寒さが原因と明らかな場合は、温かく静かな環境に移動させて様子を見ることができます。ただし30分以上続く・改善しない場合は受診してください。
診断方法
問診・身体検査・神経学的検査
震えの種類・発症状況・持続時間・他の症状を確認します。神経学的検査で反射・姿勢反応・感覚を評価し、原因の絞り込みを行います。
血液検査・尿検査
血糖値・肝機能・腎機能・電解質・甲状腺機能などを確認し、代謝性・内分泌性の原因を除外します。中毒が疑われる場合は毒物スクリーニングを行うことがあります。
画像検査(MRI・CT)
脳・脊髄疾患が疑われる場合はMRIまたはCT検査が必要です。専門施設での実施となります。
治療方法
中毒の場合(緊急)
催吐処置・活性炭投与・点滴による解毒・痙攣を止める薬(ジアゼパムなど)の投与が行われます。ピレスロイド系の場合は体を洗って除去することも重要です。
低血糖の場合
ブドウ糖の静脈投与・輸液で血糖値を回復させます。原因疾患(インスリノーマなど)の治療も行います。
神経疾患・小脳形成不全
小脳形成不全(パルボ関連)は根本的な治療法はなく、リハビリと環境整備で生活の質を維持します。症状は進行しないことが多く、工夫次第で長く生活できます。脳腫瘍・脳炎など他の神経疾患は原因に応じた治療を行います。
治療費の目安
- 初診・血液検査・神経学的検査:10,000〜25,000円程度
- 中毒の緊急処置・入院:30,000〜100,000円程度
- MRI検査:60,000〜120,000円程度
- 内科療法(薬代・月):5,000〜20,000円程度
中毒を防ぐための予防
- 犬用のノミ・ダニ製品(ピレスロイド系)を猫に使わない:猫には毒性が高く、重篤な神経症状を引き起こす
- エッセンシャルオイル・アロマを猫の近くで使わない:猫は肝臓でフェノール類を代謝できない
- 有毒植物を室内に置かない:ユリ科・チューリップ・ポトス・シクラメンなど多数
- 殺虫剤・農薬・洗剤の保管場所に猫が入れないようにする
よくある質問
Q. 猫が病院で震えているのは病気?
A. ほとんどの場合は恐怖・緊張によるもので病気ではありません。病院から帰宅して落ち着いた環境に戻れば収まります。帰宅後も震えが続く・元気がない場合は受診してください。
Q. 子猫が生まれたときからふらつき・頭の震えがある。
A. 子猫の先天性のふらつき・頭部振戦は小脳形成不全の可能性があります。感染症(パルボウイルス)が母猫から子宮内感染したことで起きる先天性の障害で、症状は進行しないことが多く、環境を整えることで普通に生活できる猫も多いです。獣医師に相談してください。
まとめ
猫の振戦(震え)は原因が幅広く、恐怖・寒さによる一時的なものから、中毒・神経疾患・代謝異常など緊急対応が必要なケースまであります。突然の激しい全身の震え・中毒が疑われる場合・意識低下がある場合はすぐに受診してください。中毒予防として、犬用殺虫剤・エッセンシャルオイル・有毒植物を猫の届かない環境に管理することが重要です。
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